蜜林檎 *Ⅰ*
「ユリちゃん、ありがとう
 娘の結婚相手も、シンくん
 みたいな奴なら大歓迎
 なんだけど

 今時の奴ってのは
 女みたいに華奢で細い腕して
 男気が無くて・・・
 
 そうそう、昔、ここに
 集まってた奴らみたいな感じ
 ・・・・・・」

伊藤の言葉に百合と雅也の
顔色が一瞬、変わるのと
同時にガラスの割れる音が
店内に響いた。

「すみません」

タオルを持ち、百合は
お客様の元へ急ぎ駆けつける

「濡れませんでした
 怪我は?
 
 シンちゃん、ほうきお願い」

手早く片付けをする二人をよそ
に、悪酔いした伊藤は酒を飲み
ながら話の続きを始めた。

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