蜜林檎 *Ⅰ*
「ルリ、ごめんね」

樹は、瑠璃子の顔を
真っ直ぐに見つめる。

「ルリちゃん
 待たせてごめんね」

「いえっ、イツキ
 イツキさんに、名前を呼んで
 頂けただけで幸せです」

樹は微笑み、店内へと入って
行き、店員に深く頭を下げた。
 
驚いた店長は、言葉がうまく
出てこない。

「今回は
 ご迷惑をおかけしました」

「いえ、いえ」

「あの、このドレス
 私が買い取ります
 それと、彼女が着ていた
 白いドレスも」
 
その言葉に、杏、瑠璃子
店員の皆が驚く。

「ダメかな?」
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