声恋 〜せいれん〜
「あ、雨っ」
ありさちゃんの声が、その場にいた女の子たち全員の声を誘う。
わたしたちもあわててどこかに身を隠そうとするけど、人が多すぎて全然動けない。
笑顔の熱気で、通り全体がさらに湿度を増す。
わたしたちも人の流れにのって駅に向かう。みんな買った紙袋や荷物や手で頭をおおいながら、きゃあきゃあいいながら人波がうごく。
けっきょく、優一くんのプレゼントは買えなかった。
またどこかで、今度は一人で探そう。そのほうがきっと見つかるような気がする。
それよりも大事なのはいまのわたしたちの熱気。
今、この瞬間の、感情。