真実の奥に。
再発

その後、


八木は真っ直ぐあたしの所へ歩み寄り、

元気の無い声で
「ごめん。元はと言えば俺が原因だったんだ。

 辛い思いをさせて悪かった。」


その上、頭を下げられたので

あたしは慌てて「全然平気だから!」と言おうとした。


「全然へ・・・」
「許しちゃだめ!」


堰を切ったような、悲鳴のような声。

それは沙羅が発した言葉なんて、誰もが想像しなかったこと――


「ダメ!ダメ!許しちゃだめ!」

よっしーが出てきて、沙羅を落ち着かせようとするが、無駄だった。


「千枝・・お願いだから、平気だなんて言わないで?

 平気な訳がないでしょ?千枝の心はきっと、もうボロボロよ!」

何故かあたしのために沙羅が泣いている


「千枝は悲しいという感情を持つ前に、心を!それ自体を!殺してるのよ」

一瞬、どこからかフッと声がした。

でもあたしはそれどころでは無かった

今、完全に、沙羅に心を揺さぶられている









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