真実の奥に。
なんで。 なんで。


別に悲しい理由などないのに。



全然苦しくなんてない。



ちゃんとわかってた。



風香は本気であたしを恨んでなかったことも。



あのいじめは、八木に対するものだったことも。






全部全部、分かってた。




でも、沙羅の綺麗な涙を見ると、

自分の心がシンクロしているのを感じてしまう。







風香が現れる前の、
あのいやがらせで、


確かに悲しむことを止めた。


というより、自分にバリアを張れているとばかり思っていた。




・・・違うの?

それは後遺症のように、深く染み込んじゃったの?



何故か目頭が熱い。



もう、なんだか馬鹿らしい。


全て、馬鹿馬鹿しい。



考えるのも億劫だ。



なのに、心が叫んでる。



苦しい、と―・・・



苦しい、と―・・・






< 128 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop