真実の奥に。
国語の授業中。

国語教師は古文の訳や、文法事項を黒板いっぱいに書き詰めていた


それをクラスメイトたちが追いつこうと必死で写している

その作業がなかなか難しいんだ


あれ。なんだか傍観者になっている気分だ




自分のノートに目を落とすと・・・、真っ白


シャーペンも握っていない

写そうと思って手に取ってみるものの、
いざ書こうと思うと邪魔が入る

思考回路が食い尽くされているような、
機能が止まったような、そんな感じ


あたし、何してるんだろうと思うと
白い紙が視界に入る

そうして思い出す。

そっか。これが原因か



そう。

授業が始まって15分後に見る決心がついて

それを見たらこの有り様



見てしまったのには理由がある

確かに嫌な予感は十分にしていた
でも、もしそうじゃなかったら?

このひどい被害妄想を
ばっかじゃないの、って笑い飛ばせるような
なんでもない内容だったら?

きっと、見てよかったって思える

気持ちもスッキリする


だからあたしは見た

見て、自分を安心させたい一心で。









< 36 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop