真実の奥に。

接近

「千枝?」

沙羅のたった一言でハッと我に返った


あの時、屋上で会ったときのこと。

今考えると、あのとき沙羅が泣いていた理由がとても気になった

今のクラスのみんなは本当にいい人たちばかりだし、
友達関係ではなさそうだ


それじゃなければ、彼氏とか?

そういえば、彼氏がいたんだったね



「ごめんね?私が無理して聞いたから何か嫌なこと思い出しちゃった?

本当にごめんね。私も無神経だった」

沙羅が必死にあたしに謝っている。

違うよ、言えないあたしがいけないんだよ


「ううん。違うの。沙羅が思ってるほど大したことじゃないんだ、実は。

余計な心配かけちゃってごめんね?」


こうやってまた嘘を吐くのが正しいのか分からない

だけど、嘘をつくことに随分慣れてしまった


沙羅はあたしの言葉に一瞬動きを止めて、

「そう、なんだ?・・・そっか。」



彼女はなんでそんな顔をするのだろうか。

納得がいかないと、顔全面に出ている







分からないことが多すぎる

言葉にしなきゃ伝わらないんだ










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