瑠璃色の華

女の勘 男の勘

「斎藤様。しっかりなさって下さい。」

酔ってしまった斎藤を支えながら足先で廊下を探り探り歩いていく。

「うー。すまないな一条蓮。そこの部屋が俺の部屋だ。」

斎藤が障子を開け中に入る。

ドサッと思い切り部屋の中に倒れ込んだ斎藤は灯りが無くても顔が赤いのが分かるほど酒やけしている。

「濡らした手拭いとお水を取って参りますね。」

蓮が立ち上がろうとした瞬間斎藤が腕を掴んだ。

「いかがなさいましたか?」

手首にからまりついている斎藤の指を手探りでほどきながら訊ねる。

「本当にかたじけない。」
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