花とアイドル☆《完》
「しばらくお待ち下さい、の後、
切れちゃった―……」


「え? もう一回かけてみなよ」


拓斗の声を受けて、愛香は再度
電話をかけるが、今度はすぐに
首を横に振る。


「電源切れてる……」


「ちょっと待って、オレが遥に
かける」


拓斗もポケットから携帯を取り
出し、遥にコールした。


だが――聞こえてきたのは、
こちらも『おかけになった電話
番号は……』というアナウンス。


「ダメだ、こっちも繋がらない」


拓斗たちの表情に、不安の色が
あらわれ始めた。


――ギャラリーで電話は好ましく
ないにしても、この状況で、二人
揃って電源切ってるなんて……おかしい。


それに、花乃に至っては、最初は
コールしたはずだ。


それを応答保留にしてから、
電源を切ったことになる……。
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