婚約者☆未満

「片思い、ね……」


伊織は冷たくそうつぶやくと、すっと立ち上がり、あたしを見ずに部屋を出ていった。


バタンと閉じられたドアは、まるであたしを拒絶しているようだった。



えっ?


ちょっと待ってよ!


まだ、続きがあるのに!


今、言おうと思ってたのに!!


伊織!?




あたしは、あたし達を隔てたドアを呆然と見つめた。






< 222 / 270 >

この作品をシェア

pagetop