チェリー

種まき


「もう…陸なんて知らないっ!!」

私、宮下愛(みやした あい)は

そう言って教室から飛び出した。

「待てよ!!!愛!」そう言ったのは

私の同級生で彼氏の水沢陸(みずさわ りく)。

そうこんなことになったのは

5分前…


今男子のなかではやっている

告白タイム。

告白タイムとは

あみだくじで当たった人は

冗談で好きでもない人に

告白するという

くっだらなーい遊び。

今日も告白タイムに参加していた

陸はあみだくじで

たまたま当たった。

だから冗談でクラスの女子に

告白していたところを

たまたま教室へ帰ってきた

私は目撃してしまった。

私ももちろん冗談だということは

分かっていたが

告白するなら

彼女にしろよ!という

考えがまず私の脳裏にうかんできて

ムカついて

陸に言葉を投げ捨てて

教室を飛び出した。



私と陸は

よく喧嘩をする。

そして

私がいつも教室を飛び出して

逃げる。

逃げ先はいつも音楽室と決まっているため

いつも陸は走って追いかけてきていても

あせっている様子はみられない。

私がいつも簡単に許してしまうからだ。

だからこそ

今日は別の場所へ逃げよう!と

決意した私はいつもは駆け上がる階段を

駆け下りた。


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