14怪談
燃え盛る火炎の中、僕が彼女に赤ん坊だけは助けてくれないかと懇願した時の直子の台詞。


『その子は助けることは出来ない』



この言葉の重みが今のしかかる。





僕は自分の髪をむしり喰らい、近くのテーブルの角に頭を打ち付け、生爪をいくつも剥いだ。


自分が彼女にした罪の重さに、自分を傷つけずにはいられなかった。






「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」







・・・・その咆哮は限りなく虚無で、



意味のない代物だった。



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