犬のお巡りさんと泥棒猫
就職難の波に攫われて、無職という大海にぷかぷか漂ってました、というような類ではない。
おまわりさんになったのだ。
思いがけなく。
少なくとも高校二年の終わり頃までは、愛憎とネオンでびっしりの大都会TOKYOに行くつもりでいた(え、だってトウキョウってそうなんでしょ?)。
それが突然、まるで上司から転勤するように命ぜられたかのように、俺の目標は警察官へと変更を余儀なくされたのだった。
その上司役にあたる父親の、「お前には社会を守る強い人間でいてほしい」という願いは無下にできるわけもなく…っていうのはちょっと言い訳だけど、でもとにかく、そうなった。