恋して☆くまさん







………ぶはっ

山根さん、山内さん、百合子さんが一斉に吹き出した。
しかも!!阿部くんまで肩を震わせている…!!
百合子さんに至っては
「腹がぁ!腹が痙攣するぅ!」
なんて言って笑い転げている。

でも僕は、僕だけは笑えなかった。
笑顔でしゃべりかけてきた彼女が かわいくて、時が止まったように感じた。

――きっと、このとき、
   僕は恋におちたんだ――



「えっと…あの…その…」

困ったように彼女が言ったところで、僕はハッとした。

全員なんて失礼な!!
とりあえずみんなの笑いを止めなければと言葉を発しようとしたら、山根さんが笑いを堪えながら言った。

「田中ぁ!ぶふっ、この子、新しいバイトの希名子ちゃん!持田 希名子ちゃん!ぶふっ」


…もちだきなこ?


「…きな粉餅?」


――僕はバカだ。
思ったことをつい、口に出してしまった。
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