君に愛の唄を


意味わかんない。
私、キスなんてした覚えない。



「もう時効は過ぎてるよな……」



蓮はそう小声で言った。

だから、聞こえてるっつの!


時効ってなに?


なんのこと…?



「去年、心菜が兄貴の家で寝てた時……」



陸の家で寝てた時に?


その先をなかなか話出さない蓮。
私はそれにイライラした。



「陸の家で寝てた時に、なに?」


「寝てた時に……した…」


「は?聞こえない」


「……した…」


「だから、聞こえない!」


「だから!兄貴ん家で寝てた時に!

…キスした…

だ、だから俺も心菜もそん時がファーストキス!!」



顔を真っ赤にしながら言った蓮が、なんだか可愛く見えた。

そして私の顔も蓮と同じようになった。


そうだったんだ…


私、とっくに蓮とキスしてたんだね。


なんか……嬉しいよ。



──歌姫のファーストキスは、眠りの歌姫に歌王子がした目覚めのキスだった。



確か…あの時、夢に出て来て私にキスをした男の子は……


蓮だった。



私にキスした男の子は、


蓮だった…───
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