君に愛の唄を


放課後、私は紗英を学校の近くの喫茶店に呼び出した。


先に着いていた私は何だか落ち着かない。


喉もさほど乾いてないのに温かい紅茶を何回も飲んでしまう。


そして、紅茶が入ったコーヒーカップをジーッと見つめていた。


その時、不意に足音が近づいてくるのが聞こえて来た。


見上げた先にいるのは紗英。

そして目の前に紗英は座った。



「………」


「………」



しばらくの沈黙。

呼び出したのは私だし、話出さないといけないのは私の方なのに。



「話があるんじゃないの?」



私の体がビクッと跳ねた。



「あのね……黙っててごめん」



私は目をギュッと瞑り、頭を下げた。


ひとりになって考えた結果は《素直に話して謝る》だった。


これしか頭に浮かばなかったんだ。
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