君に愛の唄を



「心菜、俺は帰ったほうがいいよな?」



蓮は、そう言って事情が飲み込めたのか気を使ってくれた。


だけど、今蓮が帰ってしまうと泣いてしまいそうで怖かった。



今は蓮が必要だった。



だから私は、頭を横に振った。



「わかった」



そんな私の気持ちを察してくれたのか蓮は私の手を"ぎゅうっ"と握ってくれた。



私は、その手を握りかえした。

蓮の温もりが、今は心地よかった。



「心菜ちゃん…ごめんなさい、ごめんなさい……お願いだから陸には言わないで…」



奈々さんは周りを気にせず、泣いて私にすがってきた。



でもね、奈々さん…


陸はきっと知ってるよ?


奈々さんが他の男の人と会ってるって。


海で陸が私に見せた涙のわけは、きっとこれだよね?



…許せない。



だけど、私が口出す問題でもない。



奈々さんも反省してるし…



「もう、二度とあの人に会わないって約束してくれるなら陸には言わない…」
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