極彩色のモノクローム
扉の向こう側は寒くて、
日が暮れかけているようだった。

白黒の世界は、
時間の流れがわかりにくい。

夕焼けの紅が見えたとしたら、
今は夕方だってわかるだろうに。


私の目は、それを映さない。


私は携帯を取り出すと、
着信履歴を呼び出した。

そこには、同じ名前が並んでいる。

たまには会ってやらないと、
金づるが無くなるのはちょっと痛い。

私は、半ば家出状態だった。

家には居たくないし、
居場所もない。



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