街で君の唄を聞いた

ハッとした表情の二人。

するとあたしの後ろにいるラグアスを見る。
明らかなる戦闘態勢。

こんな事になるなら、時間を止める必要なんてなかったんじゃ…。



「やだなー。俺は“時”をの力を持つ選ばれし者なのに」

「選ばれし者?お前がか?」

「…!待てカヅム。コイツの頬に月読族の刺青がある。時の力を持つのは月読族のみだ。…月読族の末裔か、貴様」

「流石騎士団長のヴィーフェルさん」

「…やはり月読族の末裔か。俺の情報まで見えている」

「まあ刃を向けてきたら、また時間を止めてたね。その内に退散できるし」



ヘラッと笑うと、ヴィーノは今まで歩いてきた道を歩き始めた。
恐らく、付いて来いという意味なんだろうけど、ラグアスが宿に止まるということと、これから旅を一緒にするということを解っているんだろうか。



「まあそういう事。冷灯が今思った通りだから、心配ないない」

「マジかよ!!そしたら馬どうすんだ!」

「心配そこ?」



いや、だってどうやって移動すんだよラグアスは!!
まさかの歩いてとか無しな!

お約束の内容とかもうやめてくれ。飽き飽きしてもうそんな目に遭いたくない。

また時間を止めてーとか、あまりにもお気楽過ぎて逆に腹立つ。




…あれ、そういえば、力ってどう使うんだ。

いや、今更ながらなんですけど、皆さん自由自在に扱って、どうやって使ってんだろ…。


ラグアスみたいに指パッチンするとか?
でもあれは解く方か。


…解せぬ…。



「自分の力使えなくてどうすんだ」

「読み取んなよ馬鹿」

「馬鹿じゃない。少なくとも自分の力が使えない人よりかはね♪」



…ごもっとも…。



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