街で君の唄を聞いた

あれだ、ふわふわしてそう。

え、それでしっかり者とかいいなー。羨ましい。



「こんにちは」



そう言って微笑む女性――西大陸の王女。



「初めまして皆さん。西大陸を治める、リレズ=ヒュレイドと申します」



プラチナブロンド。
オレンジの瞳。

玉座の隣に立っている王女は、隙なんか無いように見える。


―――なんて素敵な人だろうか。

あたしは王女に釘付けで、挨拶なんて忘れてた。



「初めまして。私はヴィーフェル=ノクラムと申します。こちらの背にいる彼は、ラグアスといいます。先程私達は何者かに襲撃されてしまい、彼は足に怪我を負ってしまった為、こうなっております。無礼をお許しください」

「いえいえ、あなた方の所為ではありませんから。それにそこで怒ってしまっては、王女は務まりません。頭をあげてください」

「ありがとうございます」



おお…大人な会話…。

何時になくヴィーノが大人に見えるよ。

っていうかラグアス大丈夫だろうか。

ラグアスが怪我を負っているとなると、遠出は出来ない…。
暫くは西大陸に居ることになるのか?

いや、まあいいんだけどさ。



「今回はあのお方が危ないとジュマルド皇子から手紙が来ました。それで今回、十人の選ばれし者を集めているのですよね?」

「ええ。残るは西大陸と北大陸に一人ずつと聞きました」

「私にも心当たりがあります。ただその方は現在どこに居られるのか分からないのです」



いやいやいやいや!
それはマズいでしょうが!

大陸にある城に居るんじゃないのか!?

ってか十人って少ないな!
いや、普通か?

自由奔放だな、ソイツ。

こっちは苦労して来たっていうのに!!


マジでこっちの身にもなれよ。




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