街で君の唄を聞いた



…はぁ。

やっとの思いで昨日の場所に着いた。

どうしてこう、城は複雑な造りをしているんだ…!
しかも兵士さん達よく覚えられるな。

この城、今まで来た三つの中で一番複雑な作りだと思う。
飴かなんか落としていかないと迷いそうだ。

しかし残念な事に飴なんて都合良く持っているはずがない。
ってかそもそも飴的な物はあるのか?



「…はぁ」



溜め息を、また一つ。

さて、この二酸化炭素はどこに行くんだろうか。

近くに置いてある木に、フッと息を吹きかけてみる。
勿論の事、何も変化はない。

まぁきっとあれだ。葉緑素とか気孔が働いてんだろ。それは確かだ。
あ、葉緑素は光合成か。


地団駄地団駄。
足をバタバタと動かす。動かしまくる。
やはり変化など、ない。

しかし側にある木に、『けっ、てめぇバカじゃねぇのか?お嬢さんよ』とか口があったら言われそうな気がする。
うわぁぁぁああ木ぃ様すいませんんん!!
しかも貴方年上としていいんだろうか?なぁ、木様。あ、これじゃ貴様になっちまう。
すまない。じゃあツリー様でいいか。
よろしく頼むぜツリー様。


…なんて馬鹿な事を考えていたんだろう。
冷静になれ、あたし。
死んだ親曰く、冷静の“冷”を取って付けたそうだ。
で、灯は暖かいとか、そういう意味らしく。

冷静且つ、暖かくという意味なんだろうか。



「ヴィーノとコルクは、もう食べ終わってるな…絶対」



苦笑いをしながら呟く。

だってここに来るまで結構な時間掛かったと思うし。

あー…腹減ったなぁ…。
あんな夢見たから、食べる気がしない。寧ろ食える方が素晴らしいと思うよ。

…昼間で保つかな…?



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