もう1人の彼氏
「…先輩、亀山先輩とつきあってるんですか?」


「まさか!私には違う大学に彼氏がいるよ〜。
亀ちゃんは、ゼミ仲間。」

「俺にはそれだけには見えませんけど…」


ギクッとした。


「それだけ だけどねぇ…」


「先輩、彼氏とうまくいってないんでしょ。」


「なんで〜?そんなことないよ?」


「だって、幸せな女が、このクソ暑い真夏に、わざわざ朝練来ないっしょ。」


「あ〜…なんていうか…中距離恋愛?だから?(笑)」

「なにそれ」


「微妙に遠いから週末しか会わないのよ。」


「ふ〜ん。彼氏と普段会えないから、平日は亀山先輩とドライブっすか。」


「ドライブなんてしてないよ。
亀ちゃんには送ってもらってるだけ。」


「亀山先輩が絵里香先輩のこと好きなの気付いてるっしょ?」


「…うん…気付いてるというか…つい最近聞いたんだよね…だからそれからは車に乗ってない…」


「そーなんだ。じゃあ足がなくて大変でしょ。」


「足だなんて、そんな言い方しないで!
私は亀ちゃんのこと、そんな風に見ていた覚えはないよ。」

「でもさ、先輩、他の男の車にも乗ったりしてるじゃん。
結構、アッシーいるっしょ。」


「…なんてこと言うの?
ひどい。
たまたま帰りが一緒になったから乗せてってもらったりしただけよ。」


「ふーん。じゃ、俺が車持ってたら、俺の車乗ってくれる?」


「乗らなーい。」


「なんで?」


「怖いから。」


「何もしないよ。」


「(笑)、そーじゃない、免許とりたての人の車は怖い。」


「じゃーたくさん練習したら、乗る?」


「まぁ考えとく。」
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