花の魔女
「それじゃあ、行ってくるわ」
手を引かれながら言うと、ルッツは頷いた。
「はい。ですがナーベル様、先程何か言いかけませんでしたか?」
ナーベルはぎくりとして、慌てて手を振った。
「な、何でもないの。気にしないで」
「そうですか」
ルッツはあっさりと引き下がり、テーブルの上のティーカップを片付け始めた。
ナーベルはほうっと胸をなで下ろした。
やっぱりまだ、聞かないほうがいいわ。
もしかしたら彼は隠しているのかもしれないし……
何より間違いだったら恥ずかしいもの。
「ナーベル様?」
立ち止まってしまったナーベルを不思議そうにモニカが覗き込んでいるのに気づき、はっと我に返った。
モニカのくるんとした大きな目がぱちぱちとこちらを見ている。
「ごめんなさい、行きましょうか」
「はい!」
ナーベルが促すと、モニカはまたナーベルの手を引いていき、ナーベルは浴室まで誘われた。