花の魔女

嬉しくてラディアンに駆け寄ろうとしたとき、何かに強く弾かれてナーベルは床に倒れこんだ。

けれど、痛みはない。


「私のラディアンに触らないでちょうだい」


毒を含んだ声が降ってきて、ナーベルはばっと顔をあげた。


そこにはあの、自分と同じ黒い髪をした女が手のひらをこちらに向け、不機嫌に見下ろしている。


「あなたは――」


「あなた邪魔なのよ。私たちの邪魔、しないでもらえるかしら」


ドロシーはフンと鼻を鳴らし、ラディアンに顔を向けた。

その表情は先ほどとは打って変わり、うっとりとした表情で


彼の頬に両手を添えて――…



「やめて!!」


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