花の魔女


感情のままに風を呼ぶと、思いの外強い風が吹き荒れた。


風は枯れた草木を大きく揺らし、ラディアンは飛んでくる木の枝から腕で身を庇った。


「ナーベル様!」


ルッツの焦った声が聞こえてきたが、ナーベルはこの風を止められるほど、まだ落ち着けてはいなかった。


風は雨雲まで呼んできて、大粒の雨が体を叩きつけてくる。

結界に守られているルッツ達は濡れもしないが、ナーベルとラディアンはあっという間にびしょ濡れになった。


雨でわからないのをいいことに、ナーベルは涙を流し続けた。



ラディアンだって好きで呪いにかかっているわけではない。


こんなのはただの八つ当たりで、ただのわがままだ。




(だけど、ただ、どうしても、私は、私のことを、思い出してほしい――)



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