私の彼氏君
        ~第1話~

走って走って走って…………

こんなにも必死になって走るのは、毎週木曜日の10分休みだけ


一階の教室から、4階の図書室までの階段を一気に駆け上がる


階段を上り切れば、目的の図書室は目と鼻の先だ


キーンコーンカーンコーン

図書室の扉を引いたと同時に、チャイムが鳴った

でもそんな事は気にせずに向かう場所は、人体の不思議やらが置いてある本棚

こんなマニアックな本を読む奴なんていないだろうけど、木曜日の3時間目

彼女は絶対此処に居る。




「…………先輩」


汗をかくのは嫌いだし、走るのだって好きじゃない
ましてやこんな先輩が理由だなんて───
そんなの、自分が一番良く分かってるつもりだ

本当は、自覚なんかしたくなかったけど

気付いてしまったからもう止められない



俺は先輩が好きなんだ





【貴女の居場所】

走るのも汗をかくのも、全部全部貴女に速く逢いたくて───
< 15 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop