飴色蝶 *Ⅱ*
庵は自分の元を離れて行く菫を

ただ、見つめることしか

できなかった。

『私は、貴方の裏切りを
 
 許せない』

裏切り・・・
  
庵は、自分の行動の全てを
心から後悔する。

自分を慕い、命すら投げ出す
巴の事を守りたいと思った
ばっかりに

彼は心から大切な菫を
失ってしまうかもしれない。

『俺はもう
 
 俺に関わった人達の
 
 死を見たくない』
   
そう思ったところで

全ての人を守る事なんて

俺にできるのか?

できないだろう・・・

たった一人、本当に

守るべき女性でさえも
 
俺は、守れないかもしれない。

こんな俺では、誰も守れない。
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