飴色蝶 *Ⅱ*
ある日、巴の心は悲鳴をあげ
それから三年もの間、彼女は
塞ぎこむ日々を送っている。

新は、巴の傍で彼女を見つめ
続けている事が辛く、いっそ
真実を話してしまおうか・・
そう想っては、庵の言葉を
思い出す。

『トモエから父親を奪った
 お前には、彼女を
 守る義務がある』

ここで、真実を
話してしまったら、お前の
六年間が、無駄になる。

これが、俺が背負うべき
試練なのだ。

罪よりも、罰よりも、重い。

新は、心を閉ざし窓の外を
見つめる、異母妹、巴の
傍に寄り添い、彼女を支える。
 
ここは、高月組先代

正二の家。

立派な門の前で、一行は
誰かの帰りを待っている。
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