飴色蝶 *Ⅱ*
車から降りた男性の靴
その足は、地面を踏みしめる。

彼の元へと駆け寄る

女性の姿。

そう、その男性は・・・

「おかえりなさい、トウマ」

刑期を終えた透馬に抱きつく
麻子の瞳から、綺麗な涙が
流れた。

「おかえりなさい、親父」

「お勤め、ご苦労様でした」

透馬を慕う伊納組の舎弟
若衆達はもちろん

高月組組員達が総出で
彼の出所を出迎え喜んでいる。

そんな彼らに近寄り、言葉を
かける透馬。

「ただいま
 皆元気だったか?」
  
そこへ玄関先から靴を履き
偉大な父初馬が、先代の
正二と共に現われた。
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