飴色蝶 *Ⅱ*
「先代、この件に関しては
 貴方の指図は受けません
 俺は、俺のやり方で
 この組を守ってみせる
 その為には、信頼できる相手
 としか手は組まない
 俺は、どうしても会澤組は
 信用できない
 きっと、奴らは何かを企んで
 いるはず」

庵の瞳を見れば、彼に
何を言っても、もう
仕方がないという事を
正二は分かっていた。

「勝手にすればいい
 俺はイオリ
 おまえの為を思って・・・
 
 年は、取りたくないものだな
 イオリ、おまえが組長だ
 思うようにやれ、俺はもう
 口を挟まない
 
 その代わり
 死ぬんじゃないぞ」

正二の熱い眼差しが、父
一夜と重なる。

それは、子を想う

父親の顔だった。
 
庵は何となく・・・

『正二が自分の
 本当の父親では無いか』
   
そう思ったが、本人にその事を
問う事はできなかった。 
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