飴色蝶 *Ⅱ*
菫は、その言葉に胸が苦しく
なるのとは裏腹に、嬉しい
気持ちが込み上げてきて
瞳に涙が溢れた。

貴方は、まだ

私を必要としてくれている。

「スミレ、喧嘩の内容は
 私には分からないけど
 今は、彼をしっかり支えて
 あげなきゃいけないよ
   
 もうすぐ、会澤組を相手に
 対立抗争は始まる
 喧嘩したまま、逢わずに
 いたら、もう二度と
 イオリに逢えなくなるかも
 しれないよ」

その言葉に、菫は麻子に
詰め寄る。

「会澤組と、抗争が起きる
 ってどうして?
 縁組はどうなったの?
 彼の隣には・・・」
 
「イオリは、会澤組とは縁組
 をしていない
 断わられた会澤組の組長さん
 は酷く激怒しているみたいよ
 きっと、イオリを許さないで
 しょうね
 
 スミレ、彼を許して、彼の傍
 に居てあげなさい
 今のイオリは、死さえ恐れて
 いない
 どこまでも、突き進んでしまう
 その彼を止められるのは
 スミレ、あなただけよ」

麻子の言葉が、私の胸に響く。
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