悪女と良男





その日の帰り。

正門の前に弟の姿を発見。


あれ?なんでコイツ、こんなところにいるんだ?

弟は違う高校に通っているはずなのに。



『おい、コウスケ』

後ろから声をかけるビクッとコウスケの肩が反応する。



『……なんだよ、兄貴か』


『うちの学校になんか用?』


正門から少し離れたところで話をする。

素の俺を見られたくないからな。




『まあ…ちょっと、な』

コウスケはどこか恥ずかしそうに言う。



『もしかしてお前、うちの学校に彼女、いんの?』


『……な、なんでそのこと…』


我が弟ながらなんて分かりやすいヤツなんだ。



『ついにお前にも彼女ができたか。

良かったな。


せいぜい、愛想尽かされないように頑張れよ』


俺はそう言ってニヤッと笑うと歩き出した。






まさか、コウスケの彼女がアイツだとは、

このときの俺はこれっぽっちも思っていなかった。














< 46 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop