悪女と良男





「じゃ、教室戻るから」


そう言って俺に背を向けた亜美の腕を引く。

そして触れるだけのキス。



『何目ぇ開けてんだよ』


「い、いきなりキスなんてするからでしょ!」


そうやって強がっちゃってさ、亜美。

動揺してること、俺に隠そうとしたってムダだぞ?



『ん?なんだよ?

もう1回してほしい?』


亜美がじっと俺を見つめるから
(亜美的には睨んでるんだろうけど)
親切にそう聞いてやると腹にパンチをくらう。



「誰がそんなこと言ったのよ!

良男のバカ!」


『あ、良男っつったからあとでバツな』


「はあぁぁぁぁ?!」


俺たち、こんなんだけど

うまくやっていけんのか?


ま、大丈夫か。

俺が亜美を黙らせればいいワケだし。



『あ、そうだ。

亜美、俺のことスキなの?』


ちゃんと亜美から聞いてなかった。

と、思った俺は亜美の腕を掴んだまま聞く。



「あ、あんた何聞いちゃってんの?」


『早く答えろよ』


そうすると亜美は顔を真っ赤にして俯くとボソッと呟いた。


「……スキ」






女の子っぽいそんな姿に
不覚にもときめいてしまったことは亜美には秘密。



亜美。任せとけ。

俺が必ずお前を幸せにしてやるからさ。










【END】

→あとがき













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