貴様!何様?会長様!?



その優しい言葉に、私は渋々首を縦に振った。



胸の中が、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。



零会長にも、謝っておかないといけない。



…だけど、顔を合わせづらいのも正直な気持ちだ。



明日、普通に零会長と目を合わせられるかな。



今日の会長は、私に変な事ばかりする。



助けてくれたり、抱きしめたり、キスしたり…。



零会長にとって、私は猫に過ぎないのに。



猫、猫、っていつも言ってるのに。



「……はぁ」



私のため息が、桜の花びらと一緒に舞った。



こんなに綺麗な桜も、明日には雨で散ってしまうんだろうか。



呆気なくて、儚くて、寂しい。



私のこの胸のモヤモヤも、桜のように雨で散ってしまえばいいのに。



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