俺様ご主人様

かさなる キモチ




楓さん?


その声はきれいに響いて


誰もが凍ったように
動かなかった



「何で…やり返さないのよッ…」



楓さんは泣いていた



「翔様は…いつもこいつの事を考えていた」


…こいつ=あたし?


「私といてもずっと…こいつを見てて…ッ…
何で…私を見てくれないの?」


楓さんは…泣いていた


泣いていた


ずっと…楓さんは強いって思っていた


あたしには冷たいけど…

…だから…驚いた



翔は…あたしを見ていたの?


あたしは…翔を避けていたのに?


何で?


混乱状態になったあたし



「こんな奴のどこがいいのよ!!!」



「…クッ…楓…俺…」



横に倒れている翔は
うまくしゃべれない


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