GATE OF WORLD
「あいつらは、感染者の疑いをかけられて、正規の孤児院からも弾かれたんや。だから、ワイらが養っとる。」

哀しそうな声で、それを告げる。
子供たちに、本気で同情しているのだろうか。
そうして、男は、どこからかギターを取り出す。

「ワイがコレで稼ぐのも、限度があるしな…」

なるほど、ストリート・ミュージシャンってやつか。
どおりで、頭のイカれたような格好をしてるワケだな。

「だから、なるべく余計な出費は避けたいんや。分かって、くれるよな?」

言いたい事は分かる。
ただでさえ金が足りないのに、しかも自分の稼ぎで、余所者に施しをしているのが気に食わないのだろう。
< 20 / 23 >

この作品をシェア

pagetop