君を壊してしまう前に(短編)
戸惑う僕に気づいたのか彼女は慌てて謝る。


「失礼な事言ってごめんなさいっ!気にしないで下さい…!!」


「なんで気づいたの?」

純粋に疑問だった。
それと同時に胸が高鳴っているのが分かる。

「え…?…なんでって…。副会長さんの笑顔はとても綺麗だけど…。何か作られた笑顔みたいで…」

そうだよ。
僕は作り笑いばかりする。
だってそうしていれば、楽だし?
自分を偽るのには慣れっこだ。

でもーー。

「君、面白いね」

それを見抜くなんて面白いじゃないか。

思わず頬が緩んだ。

「その笑顔!」

「え?」

「その笑顔は…本物ですッ!そっちのほうがいいですよ」

そう言って笑う彼女の笑顔はとても綺麗だった。
< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop