サクラノコエ
そんなメールのやりとりが途切れることなく20分ほど続いたが、途中で理紗が寝てしまったらしく、俺が送ったメールを最後にパタリとメールが止まった。

以前なら自分からメールしておいて先に寝るなんて勝手だ。と、相手にムカついていたところだが、今回はそのことに対して不思議と怒りはなかった。

むしろ理紗が寝るまで付き合ってやれたことに喜びを感じていた。

理紗と出会って3ヶ月。今回はコンビニから学校までを歩くだけだった俺たちの、言ってみれば「初デート」だ。

『おやすみ。また明日な』

理紗に最後のメールを送ったあと、ベッドに潜り込みながらガラにもなく今日のデートプランを立ててみたりして、結局、理紗が寝付けないのを笑っておきながら、自分もなかなか寝付けなくなってしまった。

このことは、理紗には絶対言わないけれど。


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