君との関係は旦那様!?【許婚新婚編】
「経営者自ら犯罪ですか。呆れのため息しか出ませんね」
柚野さんは小さくため息をついて無線機の電源を切った。
それでもスピーカーからは言い訳に近い犯人の言葉が聞こえてくる。
『マンション建設が無くなったせいで……俺らの会社は破綻寸前!
上条が現れなきゃ全てうまくいってたんだ!』
切羽詰まったような、思いを振り絞った声が痛いほど耳に響いた。
「柚野さん……」
状況がイマイチ飲みこめなくて、柚野さんへ助けを求めて視線を向けると、ゆっくり口を開いた。
「マンション建設予定地の話が出ましたよね?
実はマンション建設に最適な立地条件の土地なのです。
その土地を巡って争ったのが、田口不動産だったのですが……」
元々の土地の持ち主である富豪が聖の人柄を気に入ったらしく、上条不動産との売買を決めたらしい。
てっきり地域密着を気に入られ、自分たちがこの土地を買えると思った田口不動産は、
調子に乗って会社のお金を使いすぎ、経営が破綻寸前らしい。