南トイレ
声をかけようとしたが、やめた。
あまりにも心地よさそうだったから...。
雨が少し止んできた。
「さぁ、行くか。」
ゆっくり腰を上げた。
どれぐらいあの木の下にいただろうか...短いようで、とても長くいたような気がした。
街へ向かう道は少し曲がりくねっているが、周りに視界を遮るものは何もない平坦な道だった。
木の下少女のことがずっと気になっていたが、疲れからか、どうでもよかった。
街がだんだん近く見えるようになってきた。
入り口らしき所に看板らしきものを見つけた。
(夢の夢の街)と書いてある。
期待と不安があったが、期待の方が勝っていた。
勢いよく入り口を通り抜けると、期待を裏切らないような賑やかな雰囲気に包まれていた。