先生
「ねぇ、飯塚先輩の好きな人って、どんな人?
同じ学校の人?」


ぐっ…答えられないよぉ。


「理恵の好きな人は某企業に勤めてる人が好きなんだよ。」

某企業?


確かに、企業だけど…。


「へぇ…大人の男が好きなんだぁ。
じゃあ、高校生なんかにはときめかないんだ?」


クリームパンをかじりながら、少し悲しそうな顔をした。


「そうだよ。
だから、いくら此処に通っても無駄だからね。」


美咲がズイッと前のめりになって、宮原君を睨む。


「無駄じゃないッスよ。
好きな気持ちを閉じ込めて、指くわえて見てるだけの恋なんか、好きとは言わない。

こんだけ一杯いる中で、巡り合ったんすよ?

一人の人に。

だったら伝えなきゃ。

黙って見てたって、恋愛は始まらない。」


そう言って、さっきまでとは違う真剣な目で私を見た。


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