先生
バタンッ
私が車に乗ったのを確認して、先生がドアを閉める。
車の中は、モノトーンで統一されていて、私の瞳には殺風景に映る位何もない。
先生も乗って、エンジンをかけた。
いつもこれ聞きながら学校に来るのかな?
昔流行った様なロックが流れてきた。
その曲を私も聞きながら、ほのかに香るタバコの匂い。
「オーディオ、煩くないか?」
「いえ。大丈夫です。
この曲、何ですか?」
「ああ…俺が大学時代に流行ったアーティストでな?
これ聞くと元気になんだよな。」
ハハッと笑って、ゆっくり車が走り出した。
「先生…いくつなんですか?」
「俺?28歳。
あ、今スゲー年寄りとか思ったろ?
でもな、気持ちはお前らと同じなんだけどな。」
28歳なんだ…。
私より凄い大人。