隣の王子様
「ねぇ、優君
 明日はバイクに乗せてくれる?」

毎朝、学校へ行く優君に尋ねるのが
日課のように私はそう聞くのである。

みっちゃんは、隣でくすくす笑って
お兄ちゃんは、また言ってると
困った顔をする。

「うたちゃん。
 バイクに乗れるようになるのは
 うたちゃんが中学生になってから。」

毎回毎回、王子様は嫌な顔ひとつしないで
そう優しく答えてくれる。

だから、私は素直に「うん」って
頷く。そしてまた明日同じことを
聞くのだから、みっちゃんやお兄ちゃんの
様子も頷ける。

だけど、毎日毎日、そうやって聞いていれば
早く中学生になれる気がした。
すぐに近づけるような気がしていた。
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