散らないサクラ
Cherryblossoms...13




Cherryblossoms...13



12月の刺すような冷たい風が頬を刺す。

乾ききった空気が静寂な空間を切り裂くように流れていく。




時は決戦日。




「もう少し先に行くとさぁ、海があるんだよね。だからこんなに寒いんだろうね」

「……や、あのさ、もう少し緊張感ってやつを持とうや番犬」

「あはっ、なぁに? 歩ちゃん緊張なんてしちゃってんの? デカイ喧嘩だけど、たかが喧嘩だよ。俺は獅子とのタイマンのほうが興奮したけどなぁ」

「やっぱオオモノだよ、お前」



もはや定番となってしまった番犬と歩の会話を横耳に流しながら、広がる景色を眺めていた。



結局、ケロベロス、コスモス、ハデス、そして残りの小さなチームをかき集め、310の数を集める事は出来た。

仏の数に足りない事は事実だが、戦力でカバーする計画を緻密に練った。

“負け”の文字は浮かんでこねぇ。



「……秋さん」



すっと顔の横に缶コーヒーが差し出される。

ポケットに突っ込んでた手を抜き取り、受け取ると温い温度が手から体を伝った。

そして缶コーヒーをくれた薄着の男に視線を送る。



「笹切、寒くねぇのか」

「俺、体温高いんで。……着込むと逆に汗かいて風邪引くタイプなんですよ」



笹切修也(ささぎりしゅうや)、コスモスの情報屋、幹部。


分析力、計画力については郡を抜くほど頭のキレる男。

肉弾戦となると戦力はそこまで高くはないが(一般人よりは強い)、冷静な判断と精神的攻撃で大抵の奴は崩れ落ちる。

敵にしたら一番怖いタイプとはこう言うやつの事を言うんだろう。




「ねえ、秋さん。俺ちょっと感傷に浸ってるんですけど、話し、聞いてもらってもいいですか?」



にこり、と胡散臭い笑みを貼り付けた笹切の顔を無表情で一瞥し、頷く。




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