彼氏の条件

彼女は僕の手を引き、居酒屋を出てタクシーを拾った。

僕は彼女にタクシーに押し込められた。

彼女はタクシーの運転手にとある住所を告げ、そこに行くようにと指示をした。


僕は、タクシーに乗った後に今後の自分がどうなってしまうのかという不安が大きくなってきた。

僕は恐る恐る

「あ、あの…僕はどこにいくんですか。」

そうすると彼女は満面の笑みで僕にこう言った。



「嫌だったら、逃げていいよ。」


逃げていいよと言われても、


逃げられるわけがない。


あんな

あんな

笑顔を見せられると


彼女から逃げられるわけがない。


彼女のそばに


少しでも長くいたい。



僕は、酔っ払った女を見ながら目をそらすこともできずに

じっと彼女を見つめながらそう思った。