ユビサキからあなたへ
友香が俺の方を向いた。

少し鋭い視線だ。

「へいへい。わーかってるよ。」

お手上げのポーズで友香の無言のメッセージに答える。





洋介と由里ちゃんの1対1。

そうじゃなきゃ意味がない。



そんなことぐらいわかってるさ。



最初から俺は、洋介を3階まで送り届けたら自分の部屋に戻るつもりだった。






「じゃあ洋介。幸運を祈る!」

そう言って俺はまだ3階に止まっていたエレベーターに乗り込んだ。



「サンキュ。」



洋介の笑顔は、閉まるエレベーターの扉で遮られた。
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