ユビサキからあなたへ
遠くにその島村の白髪が見えた。


やべっ、早く捕らないとまたうるさく言われる!


急いで陸上部の近くへ走り寄った。





突然強い風が吹いた。


帽子が飛んだ。


目が痛い。


砂が入ったみたいだ。






「大丈夫?」

目をこすりながら顔をあげると、俺の帽子を持った女の子が立っていた。


「はい。」

帽子を俺に渡すと、彼女は走り去った。




俺はお礼も言えずに、その場から動けなくなった。









さっきとは違う風が吹いた。
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