ユビサキからあなたへ
地面に落ちた拍子に開かれたそのページには、
とても楽しそうに、
とてもうれしそうに、
とても幸せそうに写った恵と池上の姿があった。


つい数日前までは、そこは俺の居場所だったはずだ。






「あたしバカだよね。また閉めるの忘れちゃった。こんなんじゃスリに狙われちゃうよね。」

わからない。

照れ隠しなのか、
はぐらかしてるのか。

恵のことなら何でもわかると思ってた。

でも今、恵が何を考えてるのか見当もつかない。

この数日の間に、恵が俺の手の届かないところへ行ってしまったかのようだ。
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