偽りの結婚
「お酒を飲んでいるのですか?」
ラルフが近付くにつれ、仄かにアルコールが漂ってくる。
「あぁ、付き合いでね。僕だって飲みたい日もある」
私が嫌な顔をするのも気にせず、ベッドに腰掛けた。
ベッドに散在する本を集め、そのままベッドに入ろうとするラルフに慌てて制止しようとする。
「ちょっ…!!まさかここで寝るつもりですか?」
少しの希望を持ってラルフの返答を待つ。
「僕のベッドはここしかないんだ。それに、君の隣は意外と心地良い」
当たり前だと言わんばかりの声でベッドに入るラルフ。
「それはどうもありがとうございます」
ものの見事に棒読みだった。