偽りの結婚
「グレイク侯爵には僕が手掛ける事業の支援をしてくれている方だからね。私達が行かなければ、王家とグレイク家の間に軋轢が生じるかもしれない」
すまないね…という顔をしながらも、引く気はないようだ。
まぁ当然と言えば当然。
ラルフたち王家にとってはこれも仕事のうちなのだから。
「母上にもシェイリーンを連れていくように言われている。僕と君の間がうまくいっていないのではないかと心配しているらしい」
やっぱり…お母様は私達の事を心配なさっているのね…
食事に参加して欲しいと注意した時から何度か実行したラルフだったが、回数は数える程しかなかった。
ここで私がついていかなければもっと心配なさるかもしれない。
「一緒に行ってくれるかい?」
「……しょうがないわ。一緒に行きます」
溜め息を一つ吐きながら承諾する。
すると話している間眉を寄せていたラルフの表情が和らぐ。